今年の6月にパワハラ防止法が施工されます。
歯科医院のような中小企業は2022年4月から対象となります。
これまで、かなり曖昧だったパワハラの定義が以前より明確になり、それに
よって、今後、パワハラ訴訟が増えることが予想されます。
歯科医院の場合、チーフがパワハラをしてしまうということもありますし、
スタッフが院長にパワハラをすることもあります。
しかし、一番、現実的に考えられるのは院長がスタッフにパワハラをするとい
うことです。
しかも、実際にコンサルをしている感覚だと、かなりパワハラ認定される可能
性が高いケースが多いです。
じゃあ、実際にパワハラとして見なされた場合、どうなるのか?
恐らく、損害賠償請求になると思われます。
現時点においては損害賠償請求金額は100-200万円前後とそこまで
高額にはなってません。
でも、だからといって、パワハラについて何もしなくていいのかというと、
そうではありません。
もし、パワハラ認定されてしまうと、採用に大ダメージを受ける可能性があり
ますし、それがコメット歯科さんのようにネットに載ってしまえば消すことは
できません。
しかも、大半の院長先生は自分がパワハラ認定されそうな行為をしているとい
う自覚が全くありません。
これからは恐らくですが、退職後に、残業代未払い請求とセットでパワハラに
よって精神的被害を受けたから損害賠償100万円プラスという感じでやって
来ると思います。
この法律の施行によって、スタッフの権利意識はさらに拡大し、経営者がパワ
ハラを受ける時代へシフトしていくと思います。
欧米にはパワハラという言葉はありません。
それに近いような言葉はありますが、ほとんど問題にならないそうです。
なぜなら、経営者には解雇権が認められてるからです。
また、会社が新卒採用した従業員を教育しなければいけないのではなく、
教育と技能を持った人を会社が採用するという考えだからです。
そして、従業員の義務もきちんと定義されており、従業員が上司や経営者が
決定したことに指示に従わなければ、即解雇です。
また、各自の業務範囲や権限、責任、義務、権利が明確に職務記述書により、
明確化されており、それを忠実に守ることが求められます。
その義務を果たすことができなければ即解雇。
義務と目標をクリアすれば報酬が与えられる。
もう、ここまで従業員の権利を拡大させ、ここまで欧米式の個人主義的な考え
を取り入れるのであれば良いとこどりをするのではなく、会社の解雇権をアメ
リカ並みに認めてもらえなければ、会社も限界を超えてきています。
従業員の権利は拡大する一方、義務は会社に出勤するだけ
会社の権利はほぼ何も認められていない、義務は増すばかり
これは完全に不平等条約なのではないでしょうか。
日本の労務は完全にイカれてます。
外資系企業は誰も日本に進出しないと思います。おかしいので。
パワハラがダメなことは間違いありません。
そして、ここまで従業員の権利ばかりが守られるのがおかしいことも間違い
ありません。
しかし、何が正しいかはもはや、大事ではありません。
環境の変化に対応することこそが最も大事なことなのです。
これまでの職人気質の院長はこれからどんどんパワハラだとか、なんだとか
大騒ぎされて人が採用できない時代に突入するのです。
その環境変化に対応した医院が勝ち残る事実を受け止めるしかありません。
激怒型院長は絶滅する。
残念ですが、そういう時代になったということです。