先日、格闘技イベント「K-1」が国、県からの再三の中止要請にも関わらず
強行開催しました。
K-1としては最大限の感染対策を行ったうえで開催という決断をしました。
会場のさいたまスーパーアリーナには6500人の来場者が集まりました。
これによって、様々な方面だけでなく、世界から批判の声が出ています。
これをもって、K-1が悪だと断罪するのは簡単です。
しかし、それだけで今回の事態を片付けてはいけないのではないかと私は
思います。
実際、私はこのテーマをベースにクライアントの歯科医院でスタッフにもこの
テーマについて考えてもらいました。
先ずは、
「あなたはこの問題をどう考えるか?」
と自分の意見、考えをメモしてもらいました。
その上で4分間ぐらいで、5人グループぐらいに別れてもらい、自分の書いた
意見を発表。
次に、5分間ぐらいで各グループの意見をまとめてもらいます。
各グループの意見を聞いたうえで、こう問いかけます。
「自分がどの視点で見たか?
自分 お客さん K-1運営会社 県 国」
視点というのは常に複数の視点があり、それぞれの立場があります。
自分という視点だけでいつも考えていると、目先の自分の利益のことしか
考えなくなります。
そして、それこそが正義になるのです。
もちろん、自分を守ることも大事ですが、いろんな人の立場や考え、状況を
知り、考えたうえで判断をすることが大事だといつも思います。
だから、私は何か問題が起きた時にも、基本的にはすぐに善悪の判断や
自分の意見を確定させません。
もしかしたら、こういう可能性もあるのでは?
どういう状況だったんだろうか?
ということをできるだけ調べてから、善悪の判断をするようにしています。
そのように自分だけでなく、いくつもの視点から物を見て、考え、判断できる
ということが仕事で成果を出すうえでも、良いチームを作る上でも大事だと
私は思います。
そういう複数の視点で物を見れるメンバーが多いほど、そのチームは強く
なります。
そういうトレーニングに今回のK-1強行開催はなると思います。
そして、最初は「自分はどう思うか?」というテーマだったのを視点を変えて
いきます。
「今回のイベントを中止したら、K-1運営会社が倒産するとしたら?
あなたはこの問題をどう考えるか?」
というテーマで3分ぐらいで考えをメモしてもらいます。
次に、
「自分がK-1運営会社の従業員だったら?」
というテーマでまた3分ぐらいで考えをメモしてもらいます。
また次に
「自分がK-1運営会社の経営者の妻で、子供が3人いて、自宅のローンが
1億円あって、会社がつぶれたら5億の負債を抱えることが確実だったら?」
というテーマでイベントを開催するべきか、中止するべきかを考えてもらい
ます。
ここまで来ると、
「イベントを中止ではなく延期することはできなかったのか?」
「イベントを無観客で実施できなかったのか?」
「イベントを動画配信することができなかったのか?」
という話も出てきます。
そこで、実際に調べた情報も提供していきます。
実際、K-1の運営会社の財務状況は悪化しており、今回のイベントを無観客
延期、中止していたら1億円前後の損失が発生し、倒産する可能性が高かった
そうです。
私たちがTVで見て知っているK-1と違い、今はTV放映はほとんどなく、
有料動画会員なども特にありません。
このような状況でどう考えるか?
実は、同じ格闘技イベントのUFC(世界最高峰の総合格闘技イベント)では
開催を延期しています。
UFCのブラジルでの大会は無観客で開催していました。
このように財務状況が悪化している場合には、コロナ感染者が出てしまっても
自分の会社が倒産してしまうのであれば、最大限の対策を行ってでも開催する
しかないという状況なのではないでしょうか。
それに、国としてもコロナウイルスの感染拡大になってしまう可能性を危惧す
るのであれば、開催中止を命令すればいいのです。
そして、これまでにかかった実費を負担するべきだと思うのです。
国民に訳も分からずに、お金を配るのではなく、国がもたらした公衆衛生の
危機に対して、国が責任を持つべきだと思うのです。
それを1民間企業に責任を押し付けるようなことは絶対にあってはならない
強烈な責任放棄だと思うのです。
弊社のセミナー開催も延期することになりましたが、セミナー会場のキャン
セル費用は誰も負担してくれません。
そこにかかる人件費、返金にかかる費用なども国は負担してくれないのです。
勝手に企業を窮地に追い込んでおいて、最後の切腹も自分で勝手にしろと
いうのはあまりにヒドイという当たり前の感覚を全員が持つべきだと私は
思います。
では、そのような危機的な状況に陥らないためには、どうしらいいのか?
それはUFCやNBAのようにTV放映権料を獲得したり、有料動画配信会員
を増やしたりして、財務基盤を強固にすることです。
しかし、そのためには魅力的な試合、魅力的な試合をする選手の発掘、育成、
採用が重要になります。
それらはすべて経営努力です。
つまり、経営的な努力、取り組みを組織としていかにしっかりしているかが
このような非常に事態に問われるのです。
財務基盤が弱ければ、どんなに1人1人が頑張っていても、危機を乗り越える
ことはできないのです。
財務基盤を強固にするには利益は欠かせません。
歯科医院では、歯科医師からも利益を得ること、利益を増やすことは悪のよう
な言われ方をすることが未だにあります。
しかし、それでは、自分が危機に見舞われたときに自分を助けることも、
スタッフを守ることもできないのです。
そんなことを今回のK-1イベント強行開催からスタッフの皆さんと一緒に
考えてみるチャンスにしてみてはいかがでしょうか。