【残業代未払い請求期間が3年で確定!?】
先日、日本経済新聞に「未払い賃金請求期間、まず3年に延長へ 厚労省」と
いう記事が掲載されました。
来年、2020年4月から未払い賃金請求期間が現行の2年から3年に延長
するために厚労省は本格的に検討する段階に入ったと報じてます。
これは世間ではほとんど問題になっていません。
労働者にとって不利益になることは一切ないので誰も騒がないのです。
しかし、経営者にとっては大問題です。
3年となると、今までの2年の1.5倍。
当然、未払い請求の金額もこれまでの1.5倍となります。
請求できる金額が1.5倍となると、残業代の未払い請求件数も1.5倍以上
になる可能性が高いと私は思います。
なぜなら、「そんなにたくさんのお金をもらえるんだったら、請求した方が
良いよね?」という損得勘定で動く人が多いからです。
そして、厚生労働省としては未払い残業代請求期間をいづれは5年にしようと
計画しています。恐らく、2025年ぐらいには5年に延長されてる可能性が
とても高いと私は予測しています。
未払い残業代請求はその請求が来た時点でほぼ負けです。
請求されたとしても、全く問題ない労務体制を整えておくことが今後は間違い
なく重要です。
今回の改正のように労働者の権利はどんどん拡大し、経営者の権利は縮小する
のがこれから世の中で起きることです。
その流れは今後、変わることはほぼないと思います。
しかし、日本というのはとことん、労働者に甘く、経営者に厳しい国です。
厚労省の資料によると、未払い賃金の請求期間は
フランス・・・3年
ドイツ・・・2-6ヶ月
イギリス・・・3ヶ月
ドイツ、イギリスなどは労働協約の定めによって、ある程度、決められるそう
ですが、日本だけは労働基準法によって、雇用契約や就業規則に関係なく、
一律3年という諸外国に比べても、相当に長い期間となるのです。
そして、更にそれを5年に延長しようというのですから、労務関係に弱い中小
零細企業は潰れればいいと思ってるとしか思えません。
日本の労務は従業員3人の会社も、3万人の会社もほとんど同じ基準で、
100点でなければ、すぐにブラックだと言われるのです。
世の中にはブラック社員が腐るほどいるのに、それは全く問題とされず、
会社や経営者だけがブラックだと騒がれるのです。
常に、弱者が強者を糾弾するのが日本は大好きなのです。
これだけ採用が厳しくなると、既に弱者は従業員ではなく、経営者だと私は
思います。
そろそろ、従業員のブラックが問題として取り上げられる社会になるべきだと
私は思いますが、そんな世の中は永遠にやってこないと思います。
今の日本やこれからの社会の流れを変えることは少数派である私達には不可能
です。
しかし、今の狂った労務の現状と更に狂っていく労務の流れを察知し、備えを
していくことはできるのです。
これから未払い残業代請求の被害に遭わないためにも、しっかりと労務面を
整備していきましょう。