先日、あるクライアントに久しぶりに訪問したら医院が大荒れでした。
そのクライアントには長年、コンサルしていますが、こんなことは初めてと
言ってもいいぐらいの荒れ様でした。
その原因となっていたのはある1人のスタッフでした。
詳細をお伝えすることは出来ませんが、そのスタッフが原因でスタッフ全員が
怒っていたのです。
このままではスタッフ全員が辞めてしまいそうな勢いだったので、残念ですが
その方に退職していただくことを院長先生と決めました。
そのような際には退職勧奨するのが基本です。
つまり、退職を提案して考えてもらうということです。
しかし、これでは退職してくれない場合もありえます。
ですので、解雇予告手当を払うことを提案しました。
歯科医院専門でコンサルを始めて20年になりますが、恐らく、こちらから
解雇予告手当の支払いを提案したのは初めてだと思います。
採用が難しいので、本来であれば、医院の基準に満たない人を採用してしまい
結果として退職勧奨⇒解雇予告手当という流れがこれから増えるのではないか
と今回の件で思いました。
解雇予告手当ですが、もちろん、医院都合で辞めてもらう際には支払う必要が
ありますが、単に支払えばいいというものでもありません。
支払う際には、必ず、合意書を取り交わし、合意退職だったことをハッキリ
させることが大事です。そうしないと、解雇予告手当ももらっておいて、後で
「これは不当解雇だ!」と訴えられる可能性があるからです。
不当解雇で争われた場合、ほとんどの場合、医院が負けます。
なぜなら、能力がない、やる気がない、仕事ができないといった理由は正当な
解雇事由にならないからです。
正当な解雇事由なんて、お金を盗んだり、無断欠勤が続くなど、犯罪に近いレ
ベルでもない限り、認められないという狂った法律なのが日本なのです。
ですので、どのような理由であったとしても、解雇予告手当を払って辞めても
らう際には、必ず、合意書を交わすように気をつけてください。
また、たまにあるのが退職勧奨をしたスタッフが
「じゃあ、医院都合で辞めたことにしてください。そうしたら辞めます」と
言ってくる場合があります。
その際、きちんと合意書などを交わさずに「辞めてくれるなら良いか」と気軽
に考えて了承してしまうと、後から不当解雇で訴えられる可能性があります。
なので、気軽に医院都合退職としないようにしてください。
不当解雇で争われた場合、労働審判においては6ヶ月分の支給が相場となって
いるようです。つまり、25万円のDHさんであれば、150万円ということ
になります。
150万円ももらえるんだったら、争ってやろうかなと思う人がどこにいるか
わからないですし、後から入れ知恵される恐れもありますので、医院都合退職
には簡単にしないようにお願いします。